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歴史を見てきた島

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忌宮神社 飛地境内
満珠干珠
島は当社の飛び地境内で、神社所蔵の古図によれば沖にあるのを満珠、磯に近い方を干珠とよぶが、国の天然記念物の指定の際はその逆になっている。古くから干満両論があり、合わせて豊浦の島ともいう。
日本書紀に「皇后、豊浦津に泊まります。此の日如意の珠を海中に得たまふ。」と記されており、また社伝によれば、神功皇后新羅ご凱旋の後、霊験いやちこなる満珠・干珠なる如意の珠を海に納めたところ島になったという。以来この島は神霊の憑り給う所として崇められ、神威を畏んで庶民は上陸を遠慮してきた。その結果、島の林叢は原始林の状態を温存してをり、大正十五年、史蹟名勝天然記念物に指定された。
神功皇后にかかわる伝承のほか、源平合戦で義経がこの島影に兵船を伏せて待機した史実もあり、また風光佳麗なため古くより歌枕として知られている
いにしへの二つの玉の光こそくもらぬ神のこころなりけれ(豊浦宮法楽和歌)足利尊氏
これもまたひとつの珠のしまかげにあさりいさりの影たえずみゆ  毛利綱元
ほのぼのとしらむ波間を見渡せば珠の二島浮き出るかな  乃木希典
わたつみの潮満つ珠の照りわたるその島かけて波の寄る見ゆ 北原白秋

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