神職ブログ

神社に遺る近代国家への歩み

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秋がそろそろ終わりを告げようかとしており、北海道や東北など、雪の話題が本格化しております。
当社も公孫樹の時期が終わり、モミジが今一番きれいな頃合いではないでしょうか。モミジが散り始めるといよいよ冬だなぁという実感が増してきます。

本日は久しぶりに、本当に久しぶりに、当社の各所にある特徴をご紹介するコーナーです。
今回はこちら。

銘板は古い書き方なので、右から読んで「第一回 國勢調査記念松 大正九年十月一日」とあります。
直近では令和2年、現在も5年に一度、国家を数量的に把握するという目的の下に行われている国勢調査ですが、近代にあっては一等国である一つの指標と考えられており、国際社会の一員として当時の列強国に並ぶことを目指していた大日本帝国では何としても実施したい事業でした。法律を整備し、国を挙げて機運を高め、相当大々的に行われたようです。いくつもの記念品が作られ、記念メダル・銀杯・絵ハガキ・賞状などがあります。オークションサイトでも記念硬貨が取引されております。
当社には社務所の一角に松の木の植樹が行われ、現在姿はありませんが百余年を経て今もこうして当時の努力を伝えています。


今年の夏ごろまではツツジに覆われており、私も裏側からしか見たことが無かったため、庭石という認識でした。剪定が進んで表が見えるようになった事で、今回の記事の執筆に至りました。
扇形の銘板はいかにもおめでたく、その下には当時の町長、助役、そして大きな役割を担われた調査員44名のお名前が記念されております。どんなお気持ちだったのでしょう。大変な責任を感じつつも誇らしく任務を全うされた事と想像されます。

国勢調査は法律で回答義務が定められた調査で、国の姿を捉える重要な目的をもって行われます。
次回は令和7年。国民の一人として自覚と責任をもって答えたいです。

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